運命とは必然なもの
05
朝、エドが軍に行くための準備をしているとラッセルとフレッチャーがエルリック家を訪ねてきた。
「よぉ、エド。昨日アルから聞いたぜ。召集がかかったんだってな。」
「なんだよ、アル。ラッセル達に連絡したのかよ。」
「うん。だってラッセル達にも連絡しとかないとダメだと思ったから。」
「まぁ、別にいいけどよ。」
「エド姉さん。無事に帰ってきてね。」
「おぅ。ラッセル、フレッチャー。うちの兄貴とアルのことよろしく頼むな。“アルフォンス”って名前の奴はどおやら心配性らしいから。」
「それは姉さんが心配されるようなことをするからでしょう。」
「そうだよ、エディ。君はいつも心配かけるから。」
「あー、はいはい。俺が悪いんですね。でも、本当に頼むな。」
「ああ、任せとけ。」
「任せてください。」
「兄さん、体に気をつけてな。無理すんなよ。」
「うん、わかった。」
「姉さんも気をつけてね。」
「ああ。じゃあ行ってくるな。」
そして4人に見送られエドは家を後にした。
ねぇ、運命って何?
誰かが聞いた
運命とは自分のこれからのことだよ
誰かが答えた
じゃあ、宿命って何?
宿命とは逃げることができないことだよ
誰かが答えた
将来って何?
これから先のことだよ
将来って変えられる?
変えられるよ、それが運命なら
私にも?
君ならきっとできるよ
あなたもきっと変えられるよ
ありがとう
「エルリック君。君の今回の任務はこの男が率いるマフィアの討伐だ。討伐にあたり、私の部下達も連れて行ってくれたまえ。」
そう言って上司から渡された資料にはセントラル中を統括しているというマフィアのボスの顔写真と名前とその部下の写真と名前が載っていた。
エドにはその顔と名前に覚えがあった。
「・・・・・・・・・・・ロイ。」
ロイ・マスタング、それは父と母の仇でもあった。
「ボス。国家錬金術師が我等を討伐するために招集されたという情報が入りました。これがその国家錬金術師の顔写真と名前とその他の軍人達の一覧です。」
部下からもらった資料のトップに載っていた国家錬金術師の顔と名前に驚きの混じった声で呟いた。
「・・・・・・・・・・・エド。」
彼女は国家錬金術師だったのか。
ロイが心の中で呟くと彼の部下は彼に尋ねた。
「お知り合いですか?」
「ああ、一昨日彼女が下っ端に奴に絡まれていたのを助けてね。昨日仲良くなったんだ。」
「そうですか。でも、彼女は敵です。そのことをお忘れなく。
「わかってる。しかし、“エルリック”というファミリーネイムに見覚えがあるんだが、君は知らないかね?」
「いえ、存知ませんが。ですが、私にも聞き覚えがあります。」
「そうか。では、部下達に戦闘の準備をさせておいてくれ。」
「はっ。かしこまりました。」
そう言って彼の部下は他の部下のもとへ急いだ。
彼と彼女の運命の歯車が動きだした
もう誰にもとめられない
とめられるのは彼と彼女だけ

